日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
高分解能NMRによる無水酢酸の加水分解反応の研究
大島 時生岩井 正
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 89 巻 11 号 p. 1036-1042

詳細
抄録

水溶液系における無水酢酸の加水分解反応は電気伝導度法,カロリメータr法,滴定法などにより古くから研究されているが,著者らは無水酢酸の多い系におけるこの反応を高分解能NMRを用いて追跡した。まず無水酢酸一酢酸系における平衡定数と水酸基化学シフトの関係式を導き,20,40,60℃ で82,51,31mol/lを,またこれから活性化エネルギーとして-4.6kcal/molをえた。つぎに無水酢酸一酢酸一水系における酢酸の定量に高分解能NMRを用いることを検討し,13Csatcllitc法とchemicalshift法とにより精度よく定量できることがわかった。無水酢酸の加水分解反応は水溶液系で見られるように酸により加速され,この反応の初期速度定数は,k=ko+kH[AcOH]で近似でき,これを用いて全反応速度式を求めた。またこの反応の活性化エネルギー,活性化エントロピーを計算し,Eo=16.Okcal/mol,EH=15.4kcl/mo1,ΔSo=-15.2cal/mol・deg,ΔSH=-14.77cal/mol・degをえた。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top