日本化學雜誌
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メタノール-水系およびエチレングリコール-水系混合溶媒における硫酸鉛の溶解度
小泉 英岩瀬 福末
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1968 年 89 巻 11 号 p. 1049-1054

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抄録

メタノール-水系およびエチレングリコール-水系混合溶媒における硫酸鉛の溶解度を20,25および30℃ において測定した。混合溶媒中の有機溶媒の濃度は,メタノールは44~85wt%の範囲で4種の混合溶媒,エチレングリコールは36~74wt%間の5種の混合溶媒,すなわち有機溶媒組成の大きい部分についてである。つぎに,難溶塩の溶解度と溶媒の誘電率との関係を示す既報の理論式に基づいて,メタノール濃度0~85.35wt%,エチレングリコール濃度0~73.45wt%の全領域にわたって測定値を考察した。その結果,メタノール濃度0~20wt%・誘電率80.37~67.50,エチレングリコール濃度0~28.77wt%,誘電率80。37~68.40,すなわち有機溶媒の濃度が小で誘電率の大なる範囲では,溶解度の対数は誘電率の逆数にほぼ比例し,上の理論式が適用できるが,それ以上濃度が大で誘電率が,メタノール-水系で60以下,エチレングリコール-水系で66以下のように小さい部分では,理論式といちじるしい偏差を示すことを知った。
また,理論式を用いて算出した硫酸鉛の溶媒和半径は,20,25および30℃ でメタノール-水系ではL6~2 .8,L7~2.9および1.8~3.0Å エチレングリコール-水系では2.6~4.9,2.8~53および3.0~5.6Å の範囲であった。
さらに,精製した有機溶媒や各種組成のエチレングリコール-水系混合溶媒の密度も測定した。なお,最後にメタノール-水およびエチレングリコール-水系の等誘電率混合溶媒における溶解度についても比較検討した。

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