1968 年 89 巻 11 号 p. 1054-1059
置換フヅ素化反応においてフッ素化反応の進行度,すなわち金属フッ化物MeFさきのフヅ素化力を規定する因子につき実験的考察を行なった。
このためMeFとして20種の金属フッ化物を選び,対比としてフッ化水素,フッ化アンモニウムをも加え,25℃,2時間の一定条件下でオートクレープ内で反応を行なわせた。その結果フッ素化力を規定する因子として
(1)金属フッ化物の金属原子一フッ素原子間の結合エネルギー
(2)金属フッ化物,金属塩化物間の生成自由エネルギー差
の二因子があり,金属フヅ化物は,まず(1)の因子によりフッ素化力大小の2群A,Bに大別され,原子間結合力の小さい鉄a銅,ニッケルなどの重金属フッ化物および三フッ化アンチモンなどは群Aに属し,そのフッ素化力は他の群Bに属するアルカリ金属,アルカリ土類金属およびアルミニウムなどのフッ化物のフッ素化力にくらべ格段に大きい。しかし重金属フッ化物中でも原子間結合力の大きいクロム,マンガンなどのフヅ化物のフッ素化力は小さく,分類上むしろ群Bに属する。群B内におけるフッ素化力の大小は,因子(2)すなわち当該金属フッ化物,塩化物間の生成自由エネルギー差により決められる。
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