日本化學雜誌
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水-有機溶媒系を用いたベリリウム,マグネシウム,カルシウムおよびストロンチウムの陰イオン交換分離法
黒川 一夫
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1968 年 89 巻 11 号 p. 1076-1080

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抄録

著者は陰イオン交換樹脂Amberlyst-A29によるベリリウム,マグネシウム,カルシウムおよびストロンチウムの分離に関する一連の研究を行なった。CH3COC2H5-HNO3の混合水溶液を溶離液として用いるときわめて少ない溶離液によりベリリウム,マグネシウムの迅速分離が可能であり,またベリリウム,マグネシウム3アルミニウムの混合液よりすみやかにベリリウムを分離できた。硝酸ペリリウムy硝酸マグネシウム,硝酸カルシウムおよび硝酸スト葎ンチウムをCH3COC2H5-HNO3系の混合水溶液に溶かして試料を調製し,A斑berlyst-A29のNO3形樹脂に各金属イオンを吸着させ,溶離液としてCH3COC2H5-HNO3-7mol/lHNo3-1mol/lKNO3-H2O(容積比90:5:2:3)混合液,i-PrOH-MeOH-7mol/lHNO3(75:20:5)混合液,MeOH-i-PrOH-7nol/lHNO3-lmo1/lKNO3-H20(80:10:5:2:3)混合液および0.1mol/l硝酸をそれぞれ用いるとベリリウム,マグネシウム,カルシウムおよびストロンチウムを分離できた。また,これらの金属イオンの全量が0.12mmolまでカラムφ1.0cm×15.5cmによってすみやかに分離できることがわかった。分離機構と錯体形成とは関連がふかいが,これらの金属イオンと硝酸イオンとの錯形成におよぼす有機溶媒添加の効果をみるために,陽イオン交換法で90%メチルエチルケトン中でのベリリウム,マグネシウムおよびカルシウムの硝酸錯体の安定度定数を求めた。配位子の全濃度に対する安定度定数は次式によって定義される。

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