日本化學雜誌
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強リン酸中におけるスズ(II)および鉄(II)のポーラログラフィー
後藤 正志石井 大道
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1968 年 89 巻 11 号 p. 1080-1083

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抄録

強リン酸(P20576.7wt%)を溶媒および支持電解質とし,滴下水銀電極を用いて35~120℃ におけるスズ(II)および鉄(II)イオンの直流ボーラログララ的挙動の研究を行なった。
その結果,スズ(II)はで50℃で-0.15V(vs・HglHg2SO4)と-0.87vにそれぞれ半波電位をもつ酸化波と還元波を示し,鉄(II)は100℃ で-0.28Vの半波電位をもつ良好な酸化波を示した。これらの電流一電位曲線を解析した結果,スズ(II)の酸化波に対する電極反応は非可逆的で二電子酸化であり,還元波については可逆的で二電子還元,鉄(II)の酸化波に関しては可逆的で一電子酸化であった。また,これらの電極反応は拡散支配で,復極剤の濃度と拡散電流との間には比例関係が成立した。Ilkoviさ式から求めた各イオソの拡散係数は上記温度範囲でArrhenius式にしたがった。強リン酸中での各イオソの拡散係数((cm2/sec)×108)および拡散過程の活性化エネルギー(kcal/mol)をそれぞれ前後してつぎに示す。
スズ(II):還元波より2.4(50℃),10.4,酸化波より2.5(50℃),10.6,鉄(II):8.3(100℃)10.1。

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