日本化學雜誌
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スルファミン酸誘導体の合成と加水分解反応
山口 勝三
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1968 年 89 巻 11 号 p. 1099-1103

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抄録

スルファミン酸アンモニウムとアルデヒド類との反応を行ない,縮合生成物の生成しやすさと構造との関係を検討した。芳香族アルデヒド類はいずれもベンジリデン型の縮合生成物を与えるが,脂肪族アルデヒド(プロピオン-,n-ブチル- ,β-フェニルブロピオン-,およびシンナムアルデヒド)類ではシンナムアルデヒドの場合をのぞき縮合生成物を与えなかった。また,シンナミリデンスルファミン酸からr-フェニルプロピルスルファミン酸[12]への還元において,[12]の収率が還元に使用した触媒量の増加につれて増すことがわかった。これらのことから縮合生成物が単離しうる程度の安定性をもつための一つの条件として,生成物が共役系の構造をもつことが必要と考えられる。ベンギリデン型の縮合生成物の還元によりベンジル型のスルファミン酸誘導体をアルデヒド類に対し48~83%の収率で合成した。
また,ベンジル[6],pクロルベンジル-[10]のスルファミン酸は,加水分解により対応する第一アミンだけを与えるが,ピペロニル[7],ベラトリル-[8]のスルファミン酸はおもに第ニアミンを生ずることから,[7],[8]の加水分解にお小ては,中間に置換ベンジルヵルポニウムイオンが生成する機構が考えられる。

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