日本化學雜誌
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定電流法によるヒドロキノンの陽極スルホン化反応
佐々木 和夫本村 英夫岩田 昭柴 晴雄
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1968 年 89 巻 12 号 p. 1196-1201

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抄録

亜硫酸ナトリウムを含むヒドロキノン水溶液を電解酸化するとヒドロキノンのスルホン化が起こる。既報ではポーラログラフィーによる測定結果を報告したが,本報では定電流分極法による結果を述べる。定電流法による陽極遷移時間は亜硫酸ナトリウムが共存することによってヒドロキノン単独の場合の遷移時間より一般に長くなるが,その度合いは亜硫酸塩濃度にも溶液のpHにも関係する。IN硫酸中では遷移時間の延びは認められず,したがってスルホン化は起こっていないが,pH=8程度までの中性溶液中ではSandの定数は共存亜硫酸塩濃度に比例して増大する。これ以上のアルカリ溶液中ではSand定数は分極電流値によって複雑な影響をうけ一定値とならない。
中性溶液の結果だけについてみれば,スルホン化は電荷移動過程に後続する化学反応どして矛盾なく説明でき,既報の結論と一致するが,アルカリ溶液中での反応は単純な後続化学反応とは見なし難く,スルホン化反応自体が電荷移動反応である可能性が強い。

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