1969 年 90 巻 11 号 p. 1133-1137
1.3-ジフェニル-5-(2-チアゾリル)ホルマザン(以下PTFと略記する)を合成し,PTFの分析化学的性質を知るために,その酸解離定数,各種金属イオンとの反応性,生成する金属錯体の組成などについて実験した。おもな金属イオン30種類と,PTFとの呈色反応を調べた結果,PTFと鋭敏に反応する金属イオンは,カドミウム(II),亜鉛(III),ニッケル(II),コバルト(II),銅(II)であった。これら錯体の光吸収はカドミウムの0.06~2.2ppm,亜鉛,ニッケルの0.05~1.3ppm,コバルト, 銅の0.1~3.0ppmの濃度範囲までBeerの法則にしたがい,モル吸光係数はそれぞれ,カドミウム: 5.75×104,亜鉛: 5.00×104,ニッケル: 4.25×104,コバルト: 2.00×104,銅: 2.30×104である。本試薬は各種金属共存下のカドミウム,亜鉛の比色定量に有用であると考えられる。
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