日本化學雜誌
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低次元格子を持った錯塩の磁性
井上 元道
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1971 年 92 巻 1 号 p. 1-17

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抄録

一次元格子や二次元格子の磁性を調べ,スピン相互作用の機構を明らかにするために, CuX2L型の錯塩(X:ハロゲン化物イオン, L:複素環化合物),トリハロゲノ銅(II)酸塩,ギ酸銅(II)無水物,ペンタフルオロマンガン(III)酸塩およびNi(NCS)2L2型錯塩(L:チオ尿素とその誘導体)について,磁化率を4.2~300°Kの温度で測定した。磁化率の温度変化から, CuX2L,ぺンタフルオロマンガン(III)酸塩, Ni(NCS)2L2の一次元鎖内の相互作用エネルギーを決定した。トリハロゲノ銅(II)酸塩の磁化率の温度変化を解析するために,変形一次元格子についての磁化率の理論式を誘導した。ペンタフルオロマンガン(III)酸アンモニウム, Ni(NCS)2L2,ギ酸銅(II)無水物の青色変態では,鎖間や層間のスピン相互作用に基づく長距離秩序状態への転移が見いだされた。 CuX2L,ギ酸銅(II)の陽子磁気共鳴には,等方的Fermi接触項シフトが観測された。その超微細結合定数から配位子の原子上のスピン密度を決定して,超交換相互作用の機構を明らかにした。

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