日本化學雜誌
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シリカーアルミナーモリブデナ触媒による1-ブテンの異性化反応
石井 康敬松浦 郁也
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1971 年 92 巻 10 号 p. 820-824

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抄録

シリカ,アルミナおよび酸化モリブデン(VI)の組成比を変えた一連のシリカーアルミナーモリブデナ触媒による1-ブテンの異性化反応を行ない,触媒の酸性点の異性化におよぽす影響および酸化モリブデン(VI)の異性化に果たす役割について検討した。
シリカーアルミナーモリブデナ触媒の酸性度と異性化速度は触媒中のシリカ含量の増加とともに大きくなる傾向があり,見かけ上酸性度と異性化速度との間に一定の関係が成立したが,触媒の異性化能は単に触媒の酸性質のみに依存しないことがわかった。
すなわち,異性化の活性点として酸点とアルミナを含むモリブデンの複合酸化物が存在し,シリカ含量の多い触媒では酸性点が支配的となり,低シリカ含量触媒ではモリブデンの複合酸化物が支配的になることが示唆された。
また,異性化反応は酸素の共存により阻害され,水素の共存により促進され,酸化モリブデン(VI)無添加のシリカーアルミナ触媒の場合とは異なった挙動を示すことを見いだした。

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