1971 年 92 巻 8 号 p. 676-680
液液間物質移動に関する前報の結果を確かめることを目的として溶質の種類を変えた一連の実験を行なった。結果は前報の結果と一致した。(1) 界面から非水溶媒側への脱離の活性化エネルギーは界面に吸着している脂肪酸のカルボキシル基と水との間の水素結合のエネルギー(10.5~10.8kcal/mol)にほぼ等しい。(2) 界面から水側への脱離の活性化エネルギーは溶質が酢酸ならびにプロピオン酸の場合は溶質のアルキル基と非水溶媒(ベソゼン)との結合エネルギーにほぼ等しいが, 酪酸ならびに吉草酸では非水溶媒との結合エネルギーより小さい。(3) 脱離の活性化エンロピーは負の値を示した。この解釈のために界面に吸着している溶質分子の回転エントロピーが脱離の活性化状態で凍結することを仮定した。
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