1973 年 1973 巻 4 号 p. 749-754
アルキル置換β-ジケトン8種類の化合物の13C-NMRスペクトルを測定し,それぞれのエノ一ル形構造における化学シフトと置換基の関係について考察した。
その結果,エノール形のメチン炭素はオレフィン炭素,芳香族炭素と比較して異常に高磁場である 90~102ppmの範囲で共鳴し,カルボニル基酸素の非共有電子対が共役系に参加することによりメチン炭素の電子密度を増大させているものと推定された。さらにメチン炭素の化学シフトは置換アルキル基による加成性が認められ,対称β-ジケトンの化学シフトを用いて計算した非対称β-ジケトンの値は測定値と良好な一致を示した。
また,エノール炭素の化学シフトは置換アルキル基の-I効果が増大するにしたがって低磁場シフトする傾向が認められた。
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