1973 年 1973 巻 4 号 p. 793-797
カラマツ(Larix leptolepis)中でビニルモノマーを重合する場合,カラマツの抽出成分は重合に対して阻害効果を有することが推定される。
カラマツの各抽出物について酢酸ビニルのラジカル重合に対する阻害効果をディラトメーターを用いて重合曲線を求め明らかにした。酢酸ビニルの重合に対し重合温度40℃のアセトン抽出物およびアルコール-ベンゼン(1:2)抽出物を除て冷水,温水,アルカリ,エーテル,アルコール-ベンゼン(1:2)およびアセトンの各抽出物には明確な誘導期間が認められた。冷水および温水抽出物の添加量と誘導期間とは比例関係にあった。また,抽出物の共存する反応速度定数(k)と抽出物の非共存反応速度定数(ko)との比(k/ko)を抑制効率として求めると,アルカリ抽出物<エーテル抽出物<アルコール-ベンゼン(1:2)抽出物<アセトン抽出物の順序に重合阻害性が増大すると考えられた。
さらに重合抑制作用を有する成分は主として樹脂酸および抽出直中のn-ヘキサン不溶解物などであると推定した。
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