日本化学会誌(化学と工業化学)
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4-アミノ-2-メチル-6-オキサベンゾ[f]イソキノリン-5-オンと酢酸との水素結合およびプロトン移動
藤本 明桜井 昭雄緑川 浩岩瀬 栄一
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1974 年 1974 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

4-アミノ-2-メチル-6-オキサベンゾ[f]イソキノリソ-5-オン(2-メチル誘導体)と酢酸との水素結合およびプロトン移動について詳細に検討した。2-メチル誘導体を酢酸から再結晶させると白色針状の析出物が得られる。この析出物の元素分析および示差熱分析から2-メチル誘導体と酢酸とがほぼ1対1のモル比で水素結合体を形成していることがわかった。この水素結合体のIRスペクトルを測定した結果,2-メチル誘導体のアミノ基と酢酸のカルボニル基と力驚水素結合していることを確認した。UVスペクトルの結果から無極性溶媒中,4-アミノ-6-オキサベソゾ[f]インキノリン-5-オン誘導体とカルボン酸との水素結合形成によるエンタルピー変化が約13 kcal/mo1であることから,さらにイソキノリン核の窒素原子と酢酸の水酸基も水素結合しているものと結論した。
以上述べたような基底状態の様相にくらべ,最低励起状態では酢酸の水酸基からイソキノリン核の窒素原子にプロトン移動が起こり,イオン対が形成される。そして析出物はこの状態からいちじるしく強いケイ光を発することを知った。

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