1974 年 1974 巻 1 号 p. 169-173
ポリアミン重合体とヨウ素との電荷移動(CT)錯体形成を経た1ゴイオン生成反応において,その生成速度が重合体系でいちじるしく促進されることを見いだし,その原因が重合体系では反応活性点付近の局部的なドナー基濃度の増大と誘電率の増大が起こるためであることを明らかにした。また,π-アクセフターであり立体的に大きい7,7,8,8-テトラシアノキノジメタソ(CQ)とポリアミン重合体との反応によるCQアニオンラジカル生成速度(va一次反応)は重合体系とその低分子モデル化合物系で差がなく,この場合には重合体鎖の立体障害が原因で,1ゴイオン生成反応で認められた高分子効果が阻害されたためと考えられる。この反応は,CT錯体形成を経ることなく進行する直接一電子移動反応であることが示唆された。
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