日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
コバルト(III)-ポリ(4-ビニルピリジン)錯体の電子移動反応における静電場効果
土田 英俊雁野 幸生重原 淳孝栗村 芳実
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1974 年 1974 巻 1 号 p. 174-177

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抄録

cis-[Co(III)(en)2PVPCI]C12(PVP:ポリ(4-ビニルピリジン))のFe2+およびFe(H)エチレンジアミン四酢酸2 -(FeEDTA2-)による還元(電子移動)反応を検討した。F÷による還元は同種イオン間反応であるため反応速度は小さく,対応する低分子ピリジソ(Py)錯体にくらべ 反応性嫡113~15程度に低下した。一方,FeEDTA2-による還元は異種イオン間反応であるため迅速反応となるが,PVP錯体ではPy錯体とくらべ約20倍反応性が高い。また,配位度の増加にともない速度定数比(kpvp/ky)は増大し,イオン強度を増加すると比はいちじるしく小さくなった。PVP錯体での反応性増大は,高分子の主鎖に沿って[Co(III)]2÷が高密度化されているため,domain中にFeEffTA2-が濃縮されるからである。この静電場効果をイオン間反応における高分子電解質の触媒作用と比較議論した。

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