日本化学会誌(化学と工業化学)
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ポリアクリル酸-エチレンジアミン系コンプレックスの生成機構
松本 恒隆中前 勝彦大久保 政芳陶 正史嶋尾 正行
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1974 年 1974 巻 1 号 p. 178-184

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抄録

ポリアクリル葭水溶液にエチレンジアミンを混合すれば,特定の中和度領域でのみ白濁粒子が形成されることを認めた。そこで,その生成機構について系の濁度,粘度,電気伝導度などから検討を加えた。得られた主な結果はつぎのようである。(1)系の粘度は1価アミンによる中称の場合に比較していちじるしく低く,その中和度一粘度曲線は極大値,極小値を有した。(2)系の電導度の測定より,エノチレソジアミソがポリアクリル酸に吸着固定されることがわかった。(3)アクリル酸一アクリル酸エチメル共重合体においては,そのアクリル酸エチル共重合モル比の増大につれて白濁中和度領域は減少し,10m1%以上ではもはや自濁粒子は生成しなかった。(4)エチレンジアミン以外のアミンでは,ジエチレントリアミン,トリエチレンテトラミンなどのようなエチレン炭素鎖を有した多価アミンのみが白濁粒子を形成させた。以上の結果から,ポリアクリル酸一エチレンジアミン系の白濁粒子の生成は,ポリアクリル酸の隣接カルボキシル基間にエチレンジアミンの2価カチオンが吸着固定され,しかも,ポリアクリル酸の主鎖にそってエチレン炭素鎖が規則的にうまく配列されることにより,ポリアクリル酸が疎水化されるためと推定した。

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