温泉水中の水銀の還元気化による無炎原子吸光分析法の検討を行なった。さらに,実試料について水銀を定量し,温泉水中の水銀とほかの成分との関係について調べた。
温泉水中のヨウ化物イオンと硫化物イオンは水銀の原子吸光に強く干渉を示すが,過マンガン酸カリウムを添加することにより抑制できる。
定量した55源泉の水銀含量は 0.01~26.0 Ptg/1であり,青森県恐山温泉,下風呂温泉,秋田県後生掛温泉,群馬県草津温泉,万座温泉に比較的多く含まれていた。
一般に水銀含量の大きな温泉は,塩化物含量あるいは硫酸含量が大きい酸性泉である。酸性泉(pH ;5)の平均水銀含量は3.13μ9μであった。それに対して,弱酸性,中性泉(5;pH 7.5)では0.49Ptg/l,アルカリ性泉では, 33 /eg/1であった。
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