日本化学会誌(化学と工業化学)
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2-テノイルトリフルオロアセトン金属キレートの13C NMRスペクトル1
山崎 満武内 次夫
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1974 年 1974 巻 1 号 p. 74-78

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抄録

2-テノイルトリフルオ"アセトン(TTA)およびその金属キレートのISC NMRスペクトルを測定して,スペクトルの帰属を行ない,金属キレートの1℃化学シフト,およびスピン結合定数の傾向を検討した。
金属キレートのキレート環の1-位と3-位炭素の13C化学シフトは配位金属の電気陰性度の増加とともに低磁場シフトし,キレート環の=CH-炭素は配位金属のイオン半径の増加とともに高磁場シフトすることが見いだされた。また,=CH-炭素の13C化学シフトと=CH-プロトン化学シフトとの間にはよい相関関係が見いだされた。CF3置換基の13C化学シフトと19F化学シフトとの問には一定の相関は見られなかった。チオフェン置換基の炭素は配位金属から4結合も遠隔にあるにもかかわらず,1SC化学シブトは金属の種類により9ppmもシフトすることがわかった。
スピン結合定数JFは配位金属のイオン半径の増加とともに増加し,σFはイオン半径の増加とともに減少することが見いだされた。また,これらスピン結合定数は配位金属のグループ別に,電気陰性度とも相関があることがわかった。

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