日本化学会誌(化学と工業化学)
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1,3-ブタジエンのオキシ塩素化用塩化銅(II)-リン酸-塩化リチウム系触媒における担体効果
萩原 弘之藤堂 尚之
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1974 年 1974 巻 12 号 p. 2267-2271

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抄録

1,3-ブタジエンのオキシ塩素化用CuCl2-H3PO4-LiCl系触媒に対する担体の効果を,活性炭,シリカゲル,γ-アルミナ,セライト,炭化ケイ素,および5種の焼結アルミナシリカについて検討した。反応温度は130~275℃であり,空間速度は210hr-1であった。ブタジエン転化率とジクロロブテン選択率とを考慮すると,検討した担体の中では焼結アルミナシリカがもっともすぐれていた。5種の焼結アルミナシリカでは,β-アルミナを含む場合の選択性は低下し,また,ブタジエン転化率は担体に含まれている不純成分である酸化ジルコニウムの量により変化した。
これらの事実に基づき,α-アルミナを基材とし,担体表面に0.O25wt%のZrを含む担体を用いた触媒を300℃,15時間の前処理をすることにより,転化率79%,選択率92%の高活性の得られることを見いだした。Zrの効果はLiCl添加触媒に対してのみ認められた。
最適量のZrを含む触媒,およびZrを含まない触媒について見かけの活性化エネルギーは,それぞれ30.2kcal/molおよび31.6kcal/molであり,ほとんど等しく,またジクロロブテンへの選択率には相違が認められないので,Zrの効果としての転化率の向上は,反応に有効な活性点の増加によるものと推定した。

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