日本化学会誌(化学と工業化学)
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ジアゾニウム塩を用いる光印写システムにおける熱増幅過程
井上 英一小門 宏島田 文生
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1974 年 1974 巻 12 号 p. 2272-2276

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抄録

ジアゾニウム塩を感光材料として用いる立場からジアゾニウム塊を光分解したのち加熱すると幾留しているジアゾニウム塩の分解が促進される現象(熱増幅)に注目し,ジアゾニウム塩の固有吸収光分解(紫外線照射)ならびに色素増感光分解(赤色光照射)を行なって熱増幅の可能性や条件を明らかにすることを試みた。その結果,ジアゾニウム塩水溶液の紫外線照射により生じたフェノール類が溶存酸素を介してジアゾニウム塩を分解し,この反応が加熱により促進されると推定した。この過程はジアゾニウム塩の置換基ならびにpHの影響を受け,見かけ上一次反応で,活性化エネルギーが26kcal/molであることからジアゾ基の解離が律速段階であると見なされた。ジアゾニウム壇の色素増感光分解における熱増幅では固有吸収光分解とほぼ同様な結果が得られたが,熱増幅反応の速度定数kが57倍も固有吸収光分解の熱増幅反応の速度定数より大きかった。

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