日本化学会誌(化学と工業化学)
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水酸化カルシウム-シリカゲル調合物の水熱硬化体について
東 保男武市 和博斎藤 隆桜井 雅章末広 建介
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1974 年 1974 巻 12 号 p. 2312-2317

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抄録

水酸化カルシウムとシリカゲル粉末混合物の加圧成形体をオートクレープ中で140~300。Cの温度で水熱処理した。CaO/SiO2の配合比,成形圧力,反応時間,反応温度,未反応の石灰量,生成物の種類,組織などが硬化体の圧縮強度におよぼす影響について検討した。
硬化体の圧縮強度はCaO/SiO2の配合比によって変化し,その最高値は180℃以下の処理では,2/3,1/3配合比の硬化体で得られた。より高温で処理すると最高値は,低CaO/SiO2比(1/3)のときに認められた。たとえば,最高強度は140℃処理の場合,2/3配合比で280kg/cm2であり,300℃処理の場合,1/3配合比で560kg/cm2であった。
硬化体のカサ比重,結合水量は高温長時間処理するほど減少し,生成物中の未反応石灰量は処理時間とともに減少したが,2/3配合比以下の硬化体中には認められなかった。X線分析の結果,CSH(1)らしいものが180℃以下の硬化体にのみ認められ,250℃以上の硬化体中にはxonoxtlite,gyr1iteが認められた。gyroliteを生成した硬化体はもっとも高い圧縮強度を示した。偏光顕微鏡の観察結果によると,低温処理では,生成物は出発原料シリカゲル粒子の周囲に点在し,高温処理では,シリカゲル粒子の境界が消えて,生成物がマトリックス中に点在するのが認められた。硬化体の耐熱性は高温水熱処理するほどよく,1/3配合比で300℃,6時間処理した硬化体の収縮率は800℃加熱で約3%であった。

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