1974 年 1974 巻 12 号 p. 2384-2390
反応温度400~460。C,圧力50~200kg/cm2の反応条件下で,コバルト,モリブデン,アルミナ系の触媒を用いて,重油の水素化脱硫を,静止床上向並流型反応器により行ない,脱硫反応と同時に行なわれる水素化分解反応について,その脱硫反応との関連,反応次数,圧力や温度に対する依存性および水素消費量などについて検討し,つぎのような結果を得た。
C1-3のガス状飽和炭化水素の生成量,生成油の比重および粘度,300。Cカットの留出油および残油の割合,アスファルテン含有量などの生成油の軽質化(水素化分解)を示す指標は,粘度を除いて,いずれも脱硫率85~90%を境にして,その前後での増加あるいは減少の度合がいちじるしく変化し,これ以上の脱硫率の範囲で急速な水素化分解が進行しているものと考えられる。
水素化分解の反応次数は,比較的脱硫率の低い場合は2次となり,脱硫反応の次数と見かけ上一致するが高温,高脱硫率の条件下では1次となる。したがって,脱硫反応に無関係な水素化分解め反応次数は1次と考えるのが妥当である。水素化分解速度は,本実験条件下では,全圧150k9/cm2付近において最大であった。また水素消費量は分解率に対して4H2=17z+4のような直線関係で表わすことができた。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。