日本化学会誌(化学と工業化学)
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アラルキルおよび脂肪族インシアナート誘導体のNMRスペクトル
一寸木 康夫藤波 公也
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1974 年 1974 巻 12 号 p. 2407-2413

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抄録

キシリレンジイソシアナート(XDI)およびベンジルイソシアナートから誘導された尿素結合に基づくNHプロトンの化学シフトはジメチルスルポキシド(DMSO)中でδ6.40から7.42に,一方,ウレタン結念に基づくそれはδ7.50付近にあることがわかった。またアロファナートおよびビウレット結合に基づくNHプロトンのそれは分子内水素結合のためにウレタンや尿素結合のそれにくらべ低磁場側に存在し,1,3,5-トリベンジルビウレットのNHプロトンはδ8.75に,エチル-α,γ-ジベンジルアロファナートではδ9.O2にNHプロトンシグナルを示した。
またメチレンプロトン領域のNMRからもXDI誘導体の識別が可能であることがわかった。さらに,XDIの異性体(m-XDIとp-XDI)比はそれらのウレタン誘遺体について,塩化リチウムを含むDMA溶媒中でNMRを測定し,それらの環プロトン領域のシグナルから決定できる。
芳香族,アラルキルおよび脂肪族インシアナート誘導体に基づく,NHプロトンシグナルはこの順序で高磁場へシフトし,それらはNHプロトン領域のNMRにより容易に識別できる。このようにNHプロトン領域のNMRからも,XDIが芳香族イソシアナートと脂肪族イソシアナートとの中間的挫質を有することが示唆された。

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