1974 年 1974 巻 12 号 p. 2414-2418
アイソタクチック,シンジオタクチックホリメタクリル酸(PMA)と2価金属イオン(コバルト(II),ニッケル(II),銅(II),亜鉛(II),カドミウム(II))との水溶液中における錯体生成反応を25C,イオン強度0.1においてpH滴定法によって調べた。PMAの2価金属錯体の安定度定数はGregorらの変型Bjerrum法によって計算した。各錯体の生成曲線によれば,アイソタクチックPMAはシンジオタクチックPMAにくらべて小さなBjerrumの分離係数を与える。すなわちアイソタクチックPMAは各2価金属イオンに2個のカルボキシヒート基が配位した錯体をいっそう容易に生成する,各金属錯体の安定度の順序は,PMAの立体規則性に関係なく,Cu(III)>Cd(II)>zn(II)>Ni(II)>Co(II)である。求めた全安定度定数logβ2によれば,アイソタクチックPMAはシンジオタクチックPMAよりも安定な錯体を形成する。以上の結果は,アイソタクチックPMAが,解離基がたがいに近接したいっそう密な立体配座をとっていることに帰せられる。
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