日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
α-ヘパリンの水和
鈴木 靖子上平 恒
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1974 年 1974 巻 5 号 p. 830-834

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抄録

α-ヘパリンの水溶液中の音速度を温度10~35℃でシソグアラウンド超音波速度計により測定した。この値およびα-ヘパリン水溶液の密度の測定値から,断熱圧縮率と水和量を求めた。α-ヘパリンのナトリウム塩およびα-ヘパリンイオンの水和量はそれぞれO.647~O.704,1.04~O.938(×10-3m3,kg-1, 10~35℃)であった。これらの値は通常の少糖類,多糖類の水和量に比較して2~5倍も大きく,また,温度変化がきわめて小さいという特徴がある。この事実から,α-ヘパリンのまわりの水は広い温度範囲で安定化されているごとが明らかになった。この特性はヘパリンのもつ抗凝血作用などとも関連が深いと考えられる。

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© The Chemical Society of Japan
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