日本化学会誌(化学と工業化学)
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炭酸カルシウムと二酸化硫黄の反応におよぼす亜鉛の影響
菊池 実三田村 孝虎渓 久良緑川 敬史
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1974 年 1974 巻 5 号 p. 835-840

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抄録

物理的性状の異なる沈降性および重質炭酸カルシウムの反応牲におよぼす亜鉛の影響を固定床ガス流通下で800~1000℃の各温度で調べた。亜鉛を1%添加した粉末混合物は類焼反応で爆焼率を向上させた。とくに,活性点の多い重質炭酸カルシウムでは900~950℃の温度でその効果がいちじるしく,1.5~2.5分の間で20~25%蝦焼率の増加がみられた。高温X線試験により8℃で3分後には純粋の重質炭酸カルシウムでは炭酸カルシウムのピークが酸化カルシウムのそれより強いが,亜鉛を0.5wt%添加した試料の場合はほぼ酸化カルシウムのみのピークからなることが確かめられた。15%濃度の二酸化硫黄と炭酸カルシウムの反応は結晶の物理的性状に支配され,重質炭酸カルシウムの硫酸カルシウムへの転化率は800~1000℃の各温度で沈降性炭酸カルシウムのそれをいちじるしく上回り,娯焼反応のさいの両炭酸カルシウムの蝦焼率が比較的類似しているのに対し特徴的である。1%亜鉛を.添加した粉末混合物の転化率は亜鉛の沸点以上で向上した。重質炭酸カルシウムと亜鉛の粉末混合物を5%の濃度で反応させたら時間の経過にともない転化率は増加し5分後に15%の転化率とほぼ近い値となった。

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