日本化学会誌(化学と工業化学)
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モンモリロナイト懸濁液の粘性に対するリグニンスルホン酸の影響
小山 実
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1974 年 1974 巻 5 号 p. 847-854

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抄録

交換性カチオンの異なる(H+ Na+ Ca2+およびAl3+)モンモリロナイト(Mtm)の希薄な懸濁液の粘度をいろいろの量のリグニンスルホン酸(LSA)を加えて測定した。媒質には純水および交換性カチオンと同じカチオンの塩化物の水溶液を用いた。
実験結果からlimiting viscosity number [η]およびviscosity number ηap/c(c=O.OO5 g-粘土/ml)を求め,懸濁液中の粘土粒子の集合状態が添加したLSAによって受ける変化について検討した。希薄な粘土懸濁液の場合,その[η]およびηap/cは,それぞれ,粘土の無限希釈および。の濃度における凝集体を含む粒子の平均的な形状因子のパラメーターとみなすのが適当である。
弱塩基性のNa-Mtm懸濁液の二つの系を除き他のほとんどの系では, LSAの添加により[η]およびηsp/cの値が減少した。したがってこれらの系では粘土粒子の形状因子が減少した。実験結果を検討した結果,LSAのこの作用はおもに粘土粒子の端面にLSAが吸着し,三面対層面の結合を減少させたためであると判断された。また媒質が塩水溶液の各系およびAl-Mtmの純水の系ではかきまぜによる粘土粒子の層面対層面間の結合の生成がLSAの添加によってさまたげられる傾向のあることが認められた。

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