日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
ポリビニルアルコール系繊維のカチオン染料溶液中におけるζポテンシャルと表面染着性
須沢 利郎東間 清信
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 1974 巻 5 号 p. 855-857

詳細
抄録

ポリビニルアルコール系繊維のカチオン染料による染着性,とくにその表面染着性を調べるために,メチレンブルー水溶液(pH 10)中におけるビニロン繊維のζポテンシャル,表面染着量および染着自由エネルギーを求めた。染料濃度の増加とともに,繊維のζポテンシャルはその符号を負から正に転じ,また表面染着量が増加したことから,この繊維-染料間の結合には主として静電結合が関与することが示唆された。温度上昇によって表面染着量は減少した。またζ-logCd(Cd:染料濃度)曲線の勾配などから計算された染着自由エネルギーΔGは,温度の上昇によって減少した。染色熱ΔHおよび染色エントピーΔSは,それぞれ-9.7kcal,mol-1および-7.O cal,mol-1,deg-1であった。最大染着時の吸着染料分子の繊維上の占有面積から,メチレンブルーは繊維上でかなり疎に吸着していることが示唆された。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top