日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
酸化ニッケル触媒からの酸素の昇温脱離スペクトル
岩本 正和江頭 誠清山 哲郎
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 1974 巻 5 号 p. 858-861

詳細
抄録

酸化ニッケル触媒上での酸素の結合状態についての知見を得るため,空気中600℃で5時野焼成した触媒について,酸素の昇温脱離スペクトルを0~600℃の範囲で測定した9。その結果14~46℃(peakI)および150~180℃(peak lll)に極大値をもつ二つの酸素吸着種の存在が認められた。脱離の活性化エネルギーはpeak I, peak llに対してそれぞれ9.0,27.4kca1/mo1であった。これらの結果はUchijimaらがヒドラジン法およびKI法(pH x)で求めた表面過剰酸素のエネルギー分布とよく一致した。また脱離酸素量の測定から,酸素の吸着点は通常のNi2+格子二上であることが示唆された。
酸化ニッケルからの酸素の脱離スペクトルは,高温で長時間ヘリウム中で処理しても,ふたたび0℃まで冷却すれば,酸素を吸着させなくても現われた。そのさい,スペクトルの形状は低温での保持時間に依存し,まずpeak IIついでpeak Iが出現した。これらの結果から,0℃においても,表面酸素が脱離したあとのサイト上に,格子内過剰酸素(あるいは表面の強吸着酸素)が拡散.再配列しうることが示唆された。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top