日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
金属酸化物触媒による混合脂肪酸からのケトン合成
今中 利信足立 徹岡本 康昭寺西 士一郎
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1974 年 1974 巻 5 号 p. 862-866

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抄録

いろいろな酸化物触媒(ZnO,CoO,SrO,γ-A1203,Bi209,Nd203,LazOs,FezO3)上で酢酸とプロピオン酸との混合物を用いてケトン化反応の選択性と反応機構を速度論的に研究した。
その結果,非対称ケトンであるエチルメチルケトン生成の触媒選択性は触媒の金属イオンを含んでいる金属酢酸塩の生成熱に対して図4のように火山型を示し,また脂肪酸イオンとアシルカチオンを経由して生成した中間体である酸無水物が脱炭酸される過程が律速となることがわかった。この過程をより詳細に検討するためにCD8COODおよびCHaCOODを用いてその同位体効果を調べた。その結果,Fe303,Bi203,ならびにAl203の場合には第一次同位体効果が観測された。しかし,CH3COODを用いた場合にはいずれもその効果は観測されなかった。
それゆえ,Fe203,Bi2O3,ならびにAl2O3上でのケトン化反応の律速段階は酸無水物中間体のC-H結合の切断される段階であることがわかった。

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