1974 年 1974 巻 5 号 p. 889-893
エチルトリドデシルアンモニウムプロミド(ETDA)を合成し,そのキシレン溶液によるスカソジウム-キシレノールオレンジキレートの溶媒抽出について研究した。有機相に拙出された錯体の吸収極大は520nmにあり,その吸光度は水相のpH 6.0~6.7において一定で最大の値を示した。錯体の吸光度は有機相中のスカンジウム濃度0~7.0μg/5 mlにおいてBeerの法則にしたがい,そのモル吸光係数は520 nmにおいて2.7×104cm-1,mol-1,lであった。抽出された錯体の組成をモル順法,連続変化法,平衡移動法で検討したところ,スカンジウム:XO:ETDA=1:1:2の組成をもつ三元錯体であり,{Sc(HR)2-}・{H5C2-N+-C12H25}のようなイオン対を生成していると考えられる。
陰蔽剤としてトリエチレンテトラミンやo-フェナントロリンが有効であるが,これらを使用しても,バナジウム,アルミニウム,ベリリウム,トリウム,ジルコニウム,ウラン,ビスマス,ランタンなどの陽イオンは抽出に影響を与えた。また,硝酸イオン,過塩素酸イオンなどはETDAとイオン対をつくって妨害した。
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