アルキルベンゼン-塩化アルミニウム系錯体層の構造と不均化反応との関係を調べるために,エチル-およびイソプロピル-ベンゼンを用いて錯体層をつくり,その上層の炭化水素層を新しいアルキルベンゼンと交換して反応させることをくり返し,各回ごとに得られる上層の不均化生成物をVPCで分析した。錯体層は,アルキルベンゼンがH+AlCl4-によってプトン化され, 2+LAlCl4-のような錯体〔1〕をつくり,これに過剰に存在するアルキルベンゼンの一部が溶解したものと考えられる。〔1〕はやわらかい酸とかたい塩基(AlCl4-)との塩であるから,HClが存在したり,温度が高くなると不安定になり,HSAB則から,R+は錯体層中に存在するやわらか塩基である他のアルキルベンゼン環を攻撃してかたい酸であるH+を放出し,不均化することが考えられた。
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