1974 年 1974 巻 5 号 p. 928-932
アルミナ担持酸化クロム触媒上でのn-ヘプタンの脱水素環化反応の機構を調べるために,反応中間体と考えられるn-ヘプテン類,n-ヘプタジエソ類およびメチルシクロヘキセン類からのトルエン生成反応を検討した。n-ヘプテン類においては二重結合移行反応がトルエン生成反応よりもはるかに速く進行するために1-ヘプテンと3-ヘプテンとのどちらを出発物質としてもトルエン生成量にはまったく差が見られなかった。n-ヘプテン類の脱水丸環化反応生成物中にはかなりの量のn-ヘプタジェン類とメチルシクロヘキセソ類が含まれており,とくにn-ヘプタジエン類の存在量は反応条件によっては数パーセント程度にも達していた。それぞれの化合物からのトルエン生成速度を測定したどころ,つぎのような順位であった。メチルシクロヘキセン類>n-ヘプタジエン類≧n-ヘプテン類>n-ヘプタン。生成量およびトルエン生成速度の大きさから,n-ヘプテン類の脱水素環化反応においてn-ヘプタジエン類を経てトルエンにいたる径路は主反応径路であると考えた。
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