日本化学会誌(化学と工業化学)
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コーク生成反応を考慮したブタン接触分解の量論反応速度式の誘導
久保田 清
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1974 年 1974 巻 7 号 p. 1276-1282

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抄録

シリカ,アルミナ触媒による炭化水素の接触分解反応は,カルボニウムイオンを含む素反応群からなる複雑な反応であるが,反応装置設計の目的には量論反応式群を半機構論的に求めることが望ましい。また,コーク生成にともなって触媒が劣化していくのを考慮していくには,コーク生成反応を組み入れることが必要になる。
本研究は,ブタン接触分解を大気圧,450~600℃で行ない,総括反応速度定数を求め,さらに,量論反応式群に含まれる速度パラメーターを,ステップ幅つきMarquardt法を使用して,ガス状生成物分布の実験データから比較値として求めた。ここで,コーク生成反応は,オレフィン生成物の接触分解を行なって得られるガス状生成物分布とコーク組成H/Cの比の値に基づいて設定したが,ブタン接触分解の生成物分布の実験データをよく説明する結果が得られた。
本研究で得られたコーク生成反応を考慮した量論反応式群は,反応経過時間と反応器の位置の関数として解いて検討を進めることにより,より精度のよい劣化の進行を考慮した反応速度式群を得るのに利用できる。

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