日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
H型合成ゼオライト触媒によるアルキルベンゼン類の不均化反応
鈴木 啓明神谷 佳男太田 暢人牛場 紀典
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 1974 巻 7 号 p. 1283-1288

詳細
抄録

HX型およびHY型合成ゼオライト触媒によるトルエン,クメンおよびn-プロピルペンゼンの不均化反応を常圧固定急流通式反応装置により 200~500℃で行なった。
H型ゼオライト触媒によるアルキルベンゼン類の不均化反応においては触媒の活性化に誘導期が存在するが,誘導期はLHSVに影響されず,反応温度とアルキル置換基の構造に大きく依存したので,誘導期は不均化反癖中間体の形成過程によるものであると考えられた。不均化反応におけるアルキルベンゼン類の反応性が側鎖によって メチル基<<n-プロピル基<イソプロピル基の順であったので,その反応性は不均化反応中間体のカルボニウムイオンの安定性に大きく依存していると考えられた。
ゼオライト系触媒によるアルキルベンゼン類の比較的高温における不均化反応は,PinesらやStreitwieserらが低温反応において提唱したように,アルキルベンゼンの側鎖カチオンがペソゼン環から切断遊離するのでなく,ベンゼン環に対してα-位のカルボニヴムカチオンが他の隣接ベンゼン環の分極部位を攻撃し, 1,1-ジフェニルカチオン中間体を経由する機構で進行すると考えるのが妥当である。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top