グアニジニウム塩水溶液の水構造におよぼす影響を調べるために,種々の対イオンをもつグアニジニウム塩水溶液の濃度,温度pHをかえてNMRスペクトルを測定した。これら塩水溶液の水のプロトンのシグナルは,対イオンがSO42-,CH3COO-,CO32-のときは,純水のプロトンよりこの順により低磁場側へ,また対イオンがNO3-,Cr,Br-,r,SCN-のときはこの順序でより高磁場側にシフトした。グアニジニウムイオンのモルシフトはNH4+のモルシフトを0としたとき-0.044(負は高磁場側)となりモルシフトの温度変化は正となった。これらの結果からグアニジニウムイオンは水構造破壊イオンと結論された。一方,グアニジニウムイオンと水のプロトンとのプロトン交換反応がOH-によって触媒されることを見いだした。この反応はグアニジニウムイオン濃度の1次に比例し,その速度定数として1.5x1010l/mol,sec(15℃),4.5x1010l/mol,sec(32℃),1.4×1011l/mol,sec(45℃)を得,反応の活性化エネルギーは15kcal/molを得た。
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