1975 年 1975 巻 12 号 p. 2065-2068
アルミナおよびシリカの多孔体試料について,数種の液体による密度および収着等温線の測定を行なった。各試料は種々の温度で加熱処理し,細孔構造や表面積を大輻に変化させて用いた。シリカでは浸潰液の違いによる密度の測定値の差はなかったが,表面積の大きいアルミナ試料ではいちじるしい差が認められた。
アルミナ試料について得られた密度値の差の原因を細孔内での液体の圧縮に帰し,各浸漬液の場合についてヘリウムによる真密度の値との違いから圧縮容積ΔV,を計算した。ΔVは多孔体のBET容量,つまり比表面積に比例することから,液体の圧縮はアルミナの表面効果によるものであると結論づけた。
さらにこのような圧縮現象は収着等温線の測定における細孔内疑縮液についても同様に起こっていることを明らかにし,収着法による細孔構造の解析にはこの影響をも考慮すべきであることを示唆した。
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