1975 年 1975 巻 12 号 p. 2080-2083
濃厚亜鉛酸アルカリ溶液中における電析亜鉛の樹枝状化およびコケ状化は溶液中の微量鉛イオンによって抑劉され,微細結晶を得た。本研究においては鉛イオンの亜鉛樹枝状化の抑制機講を調べる目的で,鉛の亜鉛中への共析量を求めた。また鉛イオンの充放電サイクルならびに電析結果におよぼす影響を含めて検討した。
鉛の亜鉛中への共析量は溶液中の鉛イオン濃度に比例して増加する。また電解初期および小さい電流密度で共析しやすいが,カンード電位には依存しない。鉛の析出量は亜鉛析出量の0.1~1%であり,これはさきに報告したテルル析出量の20~400倍に相当する。鉛は比較的多量共析して亜鉛の樹枝状化を抑制し,なめらかな結晶を与えるものと考えられ,テルルとの抑制機構の相違を明らかにした。
充放電をくり返すとコケ状ならびにスポンジ状析出物を生じやすいが,鉛イオンはこれらを抑制し,充放電のくり返しにおける亜鉛の平滑化に対しても大きな効果を示した。これらはとくに充放電時間の短い場合に顕著であった。
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