1975 年 1975 巻 12 号 p. 2089-2097
南九州地方に広く分布するシラス火山灰に水酸化ナトリウム溶液を加えて,200~1000℃の間で加熱焼成し,生成する焼成物に水を加えて90℃で水熱処理して得られるゼオライト種をX線回折法で調べ,ホージャサイト型ゼオライトの生成率と焼成および水熱処理条件との関係を検討した。ホージャザイト型ゼオライトの生成は,焼成温度,焼成物の粒度,90℃処理時のH2O/Na20モル比,焼成物のNa20/sio2モル比に依存する。Na2O/SiO2モル比が0.6~1.2の範囲では,シラスにNaOH溶液を加えて蒸発乾固する過程でヒドロキシンーダライトが生成し,800℃以下の温度で焼成したものにはヒドロキシンーダライトとシラス中の結晶質(長石と石英)とが残留し,これを90℃処理したときのホージャサイト型ゼオライトの生成率は低い。700~800℃の温度領域でヒドロキシンーダライトは一部カーネギアイトに変化し,シラス中の結晶質も溶融しはじめ,この温度の焼成物を90℃で処理するとP二型ゼオライトとホージャサイト型ゼオライトが生成する,焼成温度が800~1000℃のとき轄ヒドロキシンーダライトは完全にカーネギアイト化し,シラス中の結晶質もアルカリと反応し,温度が高くなるとガラス化しはじめる。この800~1000℃焼成物からは主として無定形状態を経てホージャサイト型ゼオライトが生成し,時間の経過とともにP,型ゼオライトが副生する。P,型ゼオライトの生成する速度は主として90℃処理時のH2O/Na2Oモル比と焼成物の粒度に依存し,ホージャサイト型ゼオライトの生成率はゼオライト全体の生成率とPユ型ゼオライトの生成速度に依存する。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。