日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
塩化ホスホリルと芳香族ジオールとの反応による混成異核化合物の合成
小林 悦郎鎌上 三郎
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 1975 巻 12 号 p. 2098-2104

詳細
抄録

難燃剤を開発するため,原料として塩化ホスホリルと芳香族ジオールを用い,混成異核化合物PO(X)20R,OPO(X)2(1)と(POXOR/O-)n(III)(R'=芳香族原子団,X=アルコキシル基,アミド基)を合成し,その性状について検討した。
芳香族ジオール(HOR/OH)としては,2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパンが1,IIIの合成に適当であった。1の中間体としてのPOCl20R/OPOCl2(1')はPOCl2の2molとHOR/OHの1molとの混合物の還流によって生成し,湘状1はrのエステル化あるいはアミド化によって得られた。AICI3のような脱塩化水素触媒を添加したとき,反応は促進され,同時に橋かけ結合を含むものが生成した。IIIの中間体としての塩化物(POCIOR/0-)π(r)は,POCl2とHOR℃Hとの等量混合物を溶媒として少量のジオキサン中で還流することによって得られた。またガは,POCl2の数molとHOR/OHの1molとの反応混合物から過剰POCl2の除去によって得られるPOCl20R/OHの加熱脱塩化水素によって生成した。粘稠な油状IIはIIノのエステル化またはアミド化によって得られた。だが油状1,1正はその中に含まれている少量の溶剤を除くことによって塊状あるいは粉末状にすることができた。
反応生成物は種々の有機溶剤に可溶である。リン含有量は1において13~14%,IIにおいて8~9%であった。窒素含有量は不完全なアミド化によって予期した値より少なかった。生成物はいずれもわずかの塩素を含んでいた。反応生成物はリン酸基と芳香族原子団との縮合からなるということが,分子量,溶剤中への溶解性,赤外吸収スペクトルによって結論された。これら生成物を10%以上含有している樹脂は難燃性を示した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top