日本化学会誌(化学と工業化学)
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エチレンジアミンテトラアセタトマンガン(III)酸錯体およびtrans-1,2-シクロヘキサンジアミンテトラアセタトマンガン(III)酸錯体による遊離配位子の酸化反応生成物
田中 信行五味 一仁白樫 高史
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1975 年 1975 巻 3 号 p. 444-448

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抄録

Mn(III)錯体による酸化反応機構を検討するために, Mn(III)EDTA-EDTA(エチレンジアミン四酢酸)系およびMn(III)CyDTA-CyDTA(trans-1,2-シクロヘキサンジアミソ四酢酸)系の水溶液中における酸化反応生成物の同定および定量を試みた。その結果,主生成物としてEDTRA(エチレンジアミン三酢酸),CyDTRA(trans-1,2-シクロヘキサンジアミン三酢酸), HCHOおよびCO2が確認された。このことから,主反応はつぎの(1)および(2)式で示されるものと推定した YはEDTAある
Mn(III)Y+Y - e Mn(ll)Y+Y +CO2 (1)
Mn(III)Y+Y +H20 Mn(II)Y+Y+HCHO+H+ (2)
いはCyDTA, (Y,はEDTRAあるいはCyDTRAおよびY.はYが1電子酸化を受けたラジカルを意味する)。これらの系においては,ラジカルの連鎖反応によってCO2を多量に生成する反癒はほとんど起こらず,また,EDTRAあるいはCyDTRA以外の副生成物(N-町チルエチレンジァミソ-N, N-二酢酸,N-メチルシクロヘキサンジァミン-N,N-二酢酸)の存在が示唆されたことから,(1)および(2)式で示される主反応のほかに副反応が存在すると考えられる。

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