1975 年 1975 巻 3 号 p. 449-454
火山発散物中のフッ素と塩素の分別の原因を明らかにするために,火山かうと火山岩の反応についてのモデル(模型)実験を行なった。
火山岩粉末を1000℃に加熱して発生するガスを850~150Cのほぼ直線的な温度勾配をもたせた火山岩粒層を通過させ,火山岩粒に捕捉されたフッ素,塩素を100Cごとに区分して定量し,また,ガス中に残ったフッ素,塩素も定量した。試料として,三宅島産玄武岩と白滝産黒曜石を用いた。
実験の結果,つぎの結論を得た。1)火山ガスのフッ素,塩素含量の変動は,水蒸気の凝縮が起こらない範囲では,主として周囲のケイ酸塩岩石との反応に起因する。昇華物の沈積による影響は小さい。よく知られている噴気孔温度とFlc1比の正の相関はこの反応で定量的に説明できる。2) ケイ酸塩岩石との反癒により,塩素は主として400C以下で水溶性の化合物をつくるフ素は主として300℃以上で水に不溶性の化合物をつくる。またフッ素はつねに塩素よりもケイ酸塩岩石に固定される傾向競強い。
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