日本化学会誌(化学と工業化学)
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アルカリセルロースの新しい結晶変態VIとそれにおける原料セルロースの結晶構造の影響
林 治助山田 拓司
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1975 年 1975 巻 3 号 p. 544-549

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抄録

アルカリセルロース(Na-Cell)Iを風乾するとNa-Cell斑を経て新しい結晶変態に変わることを見いだし,これをNa-Cell Viと名付けた。構造的にはIIIよりも安定で,とくに高熱乾燥で得られたものは非常に鮮明なX線図を与える。化学分析法および密度法により求めたVIの組成は1C6H1oO5,1NaOHであった。
セルロース(Cell)IおよびIIからそれぞれ誘導されるNa-Cell I,とI の相違をさきに報告したが,この相違はNa-Cell IIIおよびVIにおいても残存し,出発原料Cell IかIIかでNa-Cll III ,VI I,III IIおよびVI IIと区別した。前二者は熱水による分解でCell Iを再生する。この原因は各反応を通じCell IおよびIIの分子鎖形態が維持されているためであり,結晶水脱離過程では分子鎖形態の変化が起こらないものと考えられる。

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