日本化学会誌(化学と工業化学)
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2-,3-,および4-アミノシクロヘキサンカルボン酸の銅(II)錯体
喜谷 喜徳斎藤 玲子小池 久
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1975 年 1975 巻 4 号 p. 632-635

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抄録

アミノシクロヘキサンカルボン酸の6種の異性体の銅(II)錯体を合成し,その諸性質を拡散反射,IRスペクトル,磁化率などから検討した。これらのうち,青色のCu(cis-2 ACC')2 , 2H2O,Cu(trans-2 ACC')2 ,2H20(以下配位子をACC,その陰イオンをACC'と略記する)は水溶液から合成でき,その構造は八面体型であると考えられるが,正常値よりやや低い磁化率を示す。他のCu(cis-3 ACC')3,Cu(trans-3 ACC')2, Cu(cis-4 ACC')2 およびCu(trans-4 ACC')2はDMFの共存下で紫色錯体で,正常値より低い磁化率をもち,構造は平面型が考えられる。また,紫色錯体の諸性質は,4-アミノ酪酸,5-アミノ吉草酸の銅(II)錯体とよい対応を示す。
配位子単独の立体配座はNMRスペクトルから,錯体中での配位子の立体配座はIRスペクトルから推定した結果,各配位子の立体配座は錯形成のさい変化しないことがわかった。以上の結果から,3ACCおよび4ACCの銅錯体は,一つめ配位子のアミノ基,カルボキシル基が異なる銅原子に配位するような構造をとるものと考えられる。

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