日本化学会誌(化学と工業化学)
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ペントースの熱分解
田中 義泰中村 正
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1975 年 1975 巻 4 号 p. 705-710

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抄録

ペソトースの熱分解を190~300℃間で行なった。その結果,示差熱分析曲線と熱重量曲線はいずれも変化が認められなかった。分解開始温度は193℃である。この温度と融点の差はリボース:100℃,リキソース:60℃,キシロース:50℃,そしてアラビノース:40℃であった。
熱分解物質について,ペントース15mgを190℃加熱分解物質から10℃ごとに300℃加熱分解物質までの水溶液を調製し,それらの性質を調べた。赤外吸収スペクトルは240℃加熱分解物質が1760~1650,1650~1550cm-1に吸収が現われ,アルデヒド基とカルボキシル基をもつ物質に変化している。水素イオン濃度は260℃と270℃加熱分解物質の水溶液ではpH5となり,酸性が一番高い値となった。Schales試薬処理の水溶液について,220℃と250℃水溶液の間で透過率は大きく変化した(94.1→36.1%)。ペーパークロマトグラフでは240℃加熱を境にペントースの有無が確かめられた。240℃に加熱したときに残存したペソトースの割合はリボース:O.94%,リキソース:0.71%,キシロース:1.48%(230℃),そしてアラビノースは1.40%であった。

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