日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1-クロロブタジエン-ブタジエン共重合ゴムにおけるヒドロキシル基の存在とジイソシアナートによる橋かけ
山下 晋三籾谷 信三三道 克己
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 1976 巻 11 号 p. 1755-1759

詳細
抄録

1-クロロブタジエンとブタジエンの乳化重合により新しい共重合ゴム(CB-BR)を合成した。CB-BRは二重結合,塩素の他にヒドロキシル基を含んでいることが,元素分析,赤外吸収スペクトル(IR)により推定された。すなわち元素分析において酸素が検出され,IRにおいて3400cm-1付近にヒドロキシル基に帰属できる吸収が現われた。またCB-BRに2-(ジメチルアミノ)エターノル(DMAE)を反応させるとMenshutkin反応により,CB-BR中のヒドロキシル基濃度を増大させることが可能であることをIRから明らかにした。このようにヒドロキシル基を有しているCB-BRはジインシアナートによる橋かけが可能であった。ジイソシアナートとしてジイソシアナトトルエン(DIT)を用い,70℃におけるプレス橋かけにより橋かけゴムが得られた。しかし橋かけ速度は大きくスコーチしやすかった。DITのアセトン溶液にゴムを浸漬させる方法でもヒドロキシル基を含むCB-BRのジイソシアナート橋かけが可能で,この方法によれば橋かけ速度は制御が容易で,得られた橋かけ物の物性もプレス橋かけに劣らなかった。また,DMAEを配合したCB-BRを用いることにより2イソシアナート橋かけ物の物性は向上した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top