日本化学会誌(化学と工業化学)
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橋かけポリエチレンの定応力下における超配向結晶化
飯田 昌造坂見 宏
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1976 年 1976 巻 12 号 p. 1913-1918

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抄録

橋かけポリエチレンを融点以上に加熱してゴム弾性体とし,これを-定の張力下で冷却するときに起こる配向結晶化について研究しな9この方法によれば試料は配向結晶化にともなう延伸により破断せずにいちじるしく高い延伸比に伸長でき,いわゆる超配向結晶化が起こることから,強靱な材料を得る意味で興昧がもたれる。
直鎖状ポリエチレンにγ線を10ないし30Mrad照射して橋かけさせ,これを160℃に加熱融解したのち定張力下で110℃まで冷却し,その過程で起こる配向結晶化にともなう伸長を測定した。配向結晶化物の延伸比は張力とともに増加し,ある-定の最大延伸比に近づいた。その値は橋かけ鎖の完全伸長時の延伸比に-致することから,橋かけ鎖の大部分がExtendedchaincrystal,を形成することが推定された。橋かけポリエチレンは-端を橋かけに連結し,他端を分子端とする末端鎖を多数含んでおり,これらは張力は荷なわないことからFoldedchaincrystalsを形成すると推定された。
高度に伸長された配向結晶化物の引っ張り強度は,融点以下の溢度で高度に延伸した超延伸物のそれにはおよばなかった。しかしECCが全体の強度を支配するとすれば,その強度は100kg/mm2となり超延伸物と同等となることがわかった。

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