日本化学会誌(化学と工業化学)
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N-(長鎖アシル)アミノ酸およびその金属塩のポリ塩化ビニル安定化効果
坂本 一民吉田 良之助
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1976 年 1976 巻 12 号 p. 1934-1938

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抄録

種々のN-アシルアミノ酸金属塩のポリ塩化ビニル(PVC)安定化効果を調べたところ,N-アシル中性および塩基性アミノ酸亜鉛塩に良効な効果が認められた。とくにN-アシル塩基性アミノ酸亜鉛塩の効果がいちじるしく,カドミウム代替安定剤として注目されている脂肪酸カルシウムー亜鉛配合系に匹敵するものであった。またN-アシルアミノ酸亜鉛塩のPVCに対する相溶性,加工性,成型物の透明性も脂肪酸カドミウム配合系と同等媒良好であった。
さらにN-アシルアミノ酸亜鉛塩には脂肪酸亜鉛の欠点である亜鉛焼けが見られず,N-アシルアミノ酸をステアリン酸亜鉛に添加すると亜鉛焼けのいちじるしい抑制が認められた。
これらの結果かちN-アシルアミノ酸亜鉛塩の,PVC安定化はその金属部分による塩酸の捕捉,N-アシルアミノ酸残基のバックボーンへの付加などの脂肪酸金属塩と同様の作用と同時にN-アシルアミノ酸残基が塩化亜鉛に配位して亜鉛焼けを抑制する作用が相乗的に働くためと思われる。Nω-アシル塩基性アミノ酸重鉛塩のすぐれた効果はα-位のアミノ基によって塩化亜鉛の捕捉がよりすみやかに行なわれ筍たやと考えられる。

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