日本化学会誌(化学と工業化学)
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酸化チタン表面とアルコールとの及応
岡崎 進関東 利典
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1976 年 1976 巻 3 号 p. 404-409

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抄録

酸化チタン表面とアルコールとの反応について,煮沸還流法により,酸化チタンおよびアルコールの両面から検討した。まず,硫酸法酸化チタン未焼i成中間製晶を十分洗浄後,120~800℃ で焼成し,表面酸量零よびOH基量の異なった試料を調整し,1-ブタノールに対する反応活性を比較した。その結果,酸化チタンの反応量は酸量よりむしろ表面OH基量に対応するが,全OH基量から比較的強い酸性を示す酸点の量を差し引いた値をとると対応度はさらによくなった。見かけ上,比較的強い酸点が反応しない理由どして強酸点にはOH基と関連しないLewis型酸点が多いことのほか,ブトキシル基がいったん生成しても加永分解すること,酸点に促進されオレフィンに転化することなどが考えられる。つぎに,市販酸化チタンと1-ブタノールとの反応について検討し,高温で焼成されているため表面OH基量が少なくfしたがって反応活性の低い市販晶も硫酸で処理すると,酸量は少ないが,多量のOH基を再生し,同時に反応活性が増加することを認め,強酸点以外のOH基が有効にアルコールと反応することを確かめた。さらに数種のアルコールの反応活性の比較を行ない,とくにブタノールの異性化の反応率の順位が,各ブチル基のTaftの置換基定数σ*からTiO-|-H + HO-|-R → Ti-O-R+ H2O の型の反応が起こるとした場合の期待活性順位とまったく反する結果になった。本研究のOH基の測定は F-イオンとの交換によっているため弱塩基性のOH基をも包括しており,結果的に強酸性を呈しないOH基がエステル化を受けやすいこととなり,高温で焼成し,残留OH基量が少なくなり孤立状態に近づくとエステル化反応が進行し難くなることを考慮すると,反応は
のように脱水環仏却アルコール開環をくり返しながら進行する可能性がある。

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